9月4日、ゆきとどいた教育をすすめる北海道連絡会の代表委員と事務局は、磯田北海道副知事に、30人以下学級の早期実現、私学助成の拡充などを要請しました。
山口康夫道労連議長から磯田副知事へ要請書を手渡したあと、若山代表委員は、今年4月からはじまった「小学校低学年35人学級モデル」にふれ、道民の期待は一刻も早く「モデル」ではなく同様の措置を継続・拡充することと述べたました。
尾張代表委員代行は、高校での弾力的学級編成の必要性を強調。定時制や職業科での少人数学級はもちろん、中途退学者対応としても少人数学級が有効であることを述べ、30人学級が全国的潮流となる前に策定された
「基本指針と見通し」のもとでの高校統廃合・学級削減は、道民の不安を募らせ、ゆきとどいた教育を願う道民世論に背を向けることになると訴えました。
また、私学助成をすすめる会の中村会長は、国の交付金削減の動きにふれ、私学助成が縮減される可能性が強まっていること、そうなれば就学困難な生徒が一層増大し、社会的な不安にもつながることを述べました。つづけて、遠藤事務局長は、北海道でも学費無償科の措置が必要であることを強調、貸与奨学金制度で授業料相当を保障するというやり方では真の充実とは言い難い、と同措置の実現を求めました。
2002年9月4日
北海道知事 堀 達 也 様
ゆきとどいた教育をすすめる北海道連絡会
代表委員 石川一美
佐藤佳朗
若山俊六
大地 巖
栄花 寛
北海道私学助成をすすめる会
会 長 中村陽三
今日の教育困難打開のために30人学級実現、教育条件整備に向けての要請
日頃、子どもたちの成長と教育の発展のためにご尽力されていることに敬意を表します。
さて、登校拒否・不登校が3年連続で13万人を超え、高校中退、「学級崩壊」、相次ぐ少年事件をめぐる報道など、教育をめぐる状況はきわめて深刻といえます。また、長引く不況のもとで、子どもたちの生活や就学も大変困難な状況になっています。給食費の滞納や教材費を持って行けないことなどで、胸を痛める子どもたちが2割を超える学校もでてきています。
また、今年からはじまった「学校5日制」「新学習指導要領」によって、「学力」への不安が増大しています。文部科学省においては、「学びのすすめ」なるアピールを発表し、これまで「大綱」とされてきた学習指導要領を「最低基準」と言うなど、その政策も揺れ動いています。
子どもと学校をめぐる深刻な事態の中で、多くの父母・教職員・教育行政関係者の協力により、その克服がすすめられていますが、このような状況も反映して、教職員はますます多忙を極め、現職死亡が続出する事態にもなっています。
こうした問題を解決するため、私たちは「子どもが人間として大切にされる学校と教育、社会の実現をめざす教育道民合意運動」を呼びかけ、諸課題にとりくんでいます。私たちは、日本と地域の未来を担う子どもたちが健やかに育つために、各界各層のみなさんと立場の違いをこえて手を携えながら、今日の子どもと教育をめぐる深刻な事態の解決に向けさらなる努力をしたいと思っています。私たちは13年前から、30人学級の実現・私学助成の大幅増額、義務教育費の国庫負担制度の堅持などを求め「ゆきとどいた教育をすすめる3000万署名」運動にとりくんでいますが、昨年度は全国で1800万余筆(13年で2億9,000万筆)、北海道でも100万余筆(13年で1,400万筆)の署名をいただきました。その署名を国会や道議会に提出し、国会ではすべての会派から142人の方々に紹介議員になっていただきました。更に私たちの要請に応え「国の責任で30人学級を」と国への意見書を採択した自治体は1664(北海道では166)を数え、国民的要求になっているのはご存じのとおりです。
このような世論の高まりに応えて、国の責任で30人学級を実現することが緊急に求められています。児童生徒の減少期の今こそ、教育条件改善の絶好のチャンスと父母・国民は期待しています。昨年4月から第7次(高校第6次)定数改善計画が実施され、今後5年間の見通しが示されましたが、残年ながら国は全国一律の30人学級の実現をみおくり、各自治体の努力にその実施を任せました。昨年4月以降、自治体で独自の工夫をこらし小・中・高校で少人数学級編成が行われております。本道でも「小学校低学年少人数学級モデル事業」「中学校最高学年学級維持事業」がはじまりましたが、このとりくみは、本道ばかりでなく国民全体に明るい展望を示しています。
今日の深刻な教育問題の打開にふさわしい教育予算の充実を願う国民の声に応え、父母・教職員や地方自治体、教育関係団体などは、国の教育予算を大幅に増やし、ゆきとどいた教育をすすめるために力を合わせるときと考えます。憲法・教育基本法にもとづき「教育の機会均等」「義務教育費無償」の実現のため積極的な施策を講じ、子どもたちの明るい未来を保障することこそ、重要な課題ではないでしょうか。
つきましては、下記の事項についてご尽力くださるよう心から要請するものです。
記
1.国に要請していただきたいこと
@一部の学校・学年・教科による少人数授業ではなく、国の責任で30人学級を実現すること。
A私学助成の大幅増額をはじめ教育予算を大幅に増やすこと。
B義務教育費の国庫負担制度を守ること。
2.北海道で行ってていただきたいこと
@公立小・中・高校で30人学級実現し、そのため教職員の配置増をすること。
当面、小・中学校では、現在行われている少人数モデル事業を拡大することと、高校においては、「生徒指導困難校」、職業科、定時制で学級定員を引き下げること。
A私学助成を増額・拡充すること。とくに、家計急変世帯の生徒に対する授業料全額免除制度を実現すること。