「平成15年度公立高等学校適正配置計画」決定に対する
北海道高教組・道教組の声明


                                               2002年10月10日

  「平成15年度公立高等学校適正配置計画」「平成15年度公立特殊教育諸学校配置計画」についての声明

  

道教委は公立高等学校・障害児学校の学級削減計画を撤回し、学校リストラ反対の道民の声に応え、30人以下学級の即時実現をおこなえ




                              北海道高等学校教職員組合連合会     
                                    中 央 執 行 委 員 長 大 地  巖 
                              全 北 海 道 教 職 員 組 合  
                                     執 行 委 員 長   若 山 俊 六 

はじめに
 北海道教育委員会は、9月3日に発表した「案」と同じ内容で、「平成15年度公立高等学校適正配置計画」「平成15年度公立特殊教育諸学校配置計画」を決定しました。これは、一昨年6月に策定した「公立高等学校配置の基本指針と見通し」をなぞったものに過ぎず、生徒減を唯一の理由とした機械的学級削減を何が何でも推進しようとする「学校リストラ」であり、教育の切り捨てに他なりません。この10年何らの変更もなく、「適正配置計画」は決定されています。「地元の声を聞く」という道教委の姿勢は、全くのポーズでしかなく、「案」として発表する意味すらなくなっていると断ぜざるを得ません。

1.「計画」決定は、ゆきとどいた教育を願う自治体・PTA・道民の声に反する
(1)地域の努力に冷や水を浴びせる道教委の施策
 9月「適正配置計画案」が示されて以来、私たちは、「地域の高校の存続を」、「札幌など都市部の受験競争激化につながる学級削減の見なおしを」、「何よりも30人以下学級の実現こそ」という多くの道民の声を、署名や要請行動を通じて道教委や道議会に伝えてきました。
 29市町村を訪れた「自治体キャラバン」では、各教育長が、@国の責任で30人以下学級をおこなうこと、A国がおこなわない際には道独自に30人以下学級をおこなうこと、B機械的な学級削減や地域合意のない学校統廃合をおこなわないこと、C教育費の保護者負担を軽減すること、D地元の学校へ通える環境を整備することなどを求めており、その声は私たちの要求と一致するものです。地元に高校を残したいという切実な願いのもとに、独自に帰省費用や海外研修の費用さえも町で負担しています。こうした自治体は道内にいくつもあり、高校存続はまさに地域の願いであることは明らかです。道教委の決定は、地域や道民のこうした切実な願いを踏みにじるものです。

(2)“結論先にありき”の硬直した道教委の姿勢
 そうしたなか今年は、「自然減」になった間口を復元してほしいという動きと危険校舎改築の引き延ばしは許しがたいという動きとが特徴的でした。平取町は2学級から1学級になった間口では、次年度の地元中学卒業生を受け入れきれない状況にあり、町民や学校の強い要請を受け町長、町教育長などが数度にわたり道議会や道教委を訪ね、間口復活の意向を伝えつづけました。また、登別高校は40年以上を経て未だに校舎改築が行われず、生徒を危険にさらしています。原因は、校舎改築は「将来像」を決定するまで行わないとする道教委自身にあります。単年度の入学者定員割れを理由に、毎年100人以上の「流入学区」で学級削減を行ったことはこれまでなく、異例の学級削減であり、「中等教育学校」設置という道教委の政策的意図を貫徹するための布石としか考えられません。
 地域と学校の努力を顧みず、生徒を危険にさらしてまで、自らの「意思」をごり押ししようとする道教委は、今回の計画決定で「道民不在」の姿をより顕わにしたといえます。


2.学校「多様化」では問題は解決しない
 道教委は今年度、檜山北高校を総合学科に転換させましたが、生徒募集が定員に満たないという理由で1学級を減に、さらに、森高校(総合学科)を来年度1学級減にします。地域高校の「生き残り」策として道教委自身が導入を迫ってきたにもかかわらず、学級削減を強行する背信行為に対して学校・保護者・地域の怒りは募っています。多様な選択学習のために必要な定員増を怠り、教職員の献身的な努力でようやく成り立っている総合学科において、教職員の定数増を含めた人的配置を行うなど、道教委は責任を果たすべきです。また、今年4月から上川中学・高校の「連携型中高一貫校」の本格実施が開始され、来年度は3校の実施が決定されましたが、それも不充分な条件整備の下での実施ゆえに、多大な負担を教職員に強いています。
 その一方で、登校拒否・不登校の増加、全国トップレベルの中途退学など、課題は山積しています。こうした課題を解決することこそがいま求められています。そのためには、地域に対し学級削減をちらつかせ、「総合学科」などの「多様化」を押しつける差別的予算措置を行うのではなく、30人以下(少人数)学級の実現で生徒一人ひとりに丁寧に教職員が接することが可能になる条件整備を行うことこそが必要です。


3.障害児学校訪問教育における過年度生の本格的受け入れを今こそ
 障害児学校では、いま、高等部進学が前進する一方で、保護者・教職員から、訪問教育の過年度生の本格的受け入れについての要求が高まっています。高等部訪問教育の間口についての「中学部3学年に在籍中のもので、現に訪問教育を受けているものを対象とする」現行方針は、訪問教育を受けたいと願う200人を超える過年度卒業生の希望を閉ざすものであり、過年度生についても中卒・在学生と別枠の定数枠を設けるなど、早期の高等部教育の実現に向けた努力が求められます。

4.今こそ道独自で30人以下(少人数)学級の実現を
 「標準法」一部改正を受け全国26自治体で少人数学級編成が実現しています。道・道教委はこの4月から小・中学校の一部で少人数学級のモデルを実施していますが、可能な地域や学校からはじめれば、30人以下学級はすぐにも実現できます。その実現を拒む「機械的学級削減」は、私たちがとりくんできた、この13年間の1,400万筆にも及ぶ3000万署名に託された道民の声や道内167自治体にのぼる「30人以下(少人数)学級実現を求める自治体意見書」などの強い要求に背を向けるものといわざるを得ません。
 2005年は次年度比約5,300人もの中学卒業生の減少が見込まれています。このやり方を踏襲すれば、来年度以降大規模な学校統廃合は避けられません。それはとりもなおさず郡部の高校の存続の危機を意味し、教育の機会均等の原則を踏みにじることに通じます。高校リストラか少人数学級か、その選択がいま鋭く問われています。憲法・教育基本法にもとづき、どの子にも等しくゆきとどいた教育を保障し、子どもたち一人ひとりが生き生きと通える学校をつくるためにも、私たちは決定の撤回を強く求めるものです。